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2019.08.27

【河野啓三より近況報告がございます】

退院のご報告
2/6(水)の緊急入院から早いもので季節は半周し夏も終わろうとしていますが、
私、河野啓三は先日8/23(金)に無事退院いたしました。
各病院の素晴らしいスタッフ皆様のサポートに支えられ、日常生活への復帰が叶い
ました。しかしながら、後遺症のうち左手の麻痺が重く完治に至っていないため、
引き続き通院治療を継続します。
現時点では、演奏活動へ直ぐにでも復帰したい気持はあれどままならない状態です。
運良く右手は普通に動作可能であり、全く何も出来ないという訳ではないながらも、
今後の活動に関しましては、T-SQUARE メンバー スタッフ皆様と相談のもと
慎重に進めたいと思います。
応援下さっています皆様へは、引き続きご迷惑ご心配をおかけする形となってしま
う事を心よりお詫び申し上げます。

以下、自分の病状と経過について簡単に説明したいと思います。
2月に発症しました脳出血、右被殻に中程度の出血で手術する事も無く退院直前の
段階では血腫も引いています。
発症の原因は瞬間的な血圧の上昇によるものとの事で、
この先は血圧のコントロールに注意すれば再発のリスクは抑えられるそうです。
これに対して後遺症は、大雑把には左半身の麻痺と軽度の高次脳機能障害が出ました。
とくに左上下肢の麻痺は重度のもので、発症時には左手は肩から先が全く動かず
でしたし、左足もコントロール不能のためおよそ4ヵ月間車椅子生活を送る事となりました。
しかし、急性期、回復期、各病院の療法士皆様の卓越したリハビリ治療の成果により、
足は杖と補助装具を使用しての自立歩行が可能な状態で退院に至りました。
日常生活に支障が全く無いとは言えませんが、大きな回復を得られたと言えるところです。
左手は、全く動かない状態から、肩、肘、と僅かづつ動くようになり、
指を自発的に動かせたのが発症から3週間ほど経った頃の事でした。
この頃、担当して下さっていた作業療法士さんへ、さりげに「再びピアノを弾く事はできますか?」
と質問したところ、少しの間をおいてから「前の様にはいかない。」と返答頂きました。
ある程度自分には受け止める準備がありましたがショックが無かったわけではありません。
ただ、この先生の誠実な対応に抱いた感謝と尊敬の念はそれ以上に大きいものでした。
回復期に入ると、少しづつながら着実に機能が戻って来るのを実感しながらリハビリに
自主トレに明け暮れる毎日でした。
ですが、回復期の後半に差し掛かる頃から、回復スピードが緩まって来た事も実感しました。
むしろこの頃、静かに確実に自分を囲み始めた現実に諦観の境地を覚えるようでもありました。
発症から半年程度経つと出血で壊れた脳細胞に代わり新たに覚醒された神経回路が固定し
回復が止まると言われているそうです。ただその先は全く戻らないという事でもな
く回復へ向かう可能性もあるそうですが、リハビリを諦めればその時点で止まるら
しいです。
現在具体的には、左手でお茶碗を持てない、両手で顔を洗えない、とか、ラジオ体
操も出来なくて恥を掻きそう、韻ふんでも猫踏んじゃったが弾けない、等々、現実
的に厳しい状況ではあります。
今後は通院治療へ移行しリハビリを継続するわけですが、今より少しでも僅かでも
回復を目指し、背負った障害に向き合ってこの先の人生を歩みたいと思います。
利き手である右手が正常である事は不幸中の幸でした。現状の左手機能回復段階に
おいても、表現者、クリエイター、としての道が断たれる事に直結するわけではな
い事、各病院のスタッフ皆様、同じ時間を過ごした入院患者さん皆様が教えて下さ
りました。
自分に出来る事、自分の道を見つけ進んで行きたいと思います。
そして、当面は T-SQUARE の次作アルバムへ向けての新曲制作にあたり、
12月の 神戸チキンジョージと日本橋三井ホールでの公演へは何らかの形で参加出来る
ようにしたいと考えています。
皆様へまたお会い出来る事を楽しみにしています。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
2019年8月27日 河野啓三